りくりゅうペア×山一ハガネ 対談/インタビュー
「りくりゅう」こと三浦璃来選手・木原龍一選手が、シーズン終わりに山一ハガネにお越しくださいました。
りくりゅうは今シーズン、世界選手権の優勝や国別対抗戦でのパーソナルベスト更新など、怪我に悩んだ昨シーズンから力強く復帰され、来季のオリンピックに向けて期待が高まっています。
そんなお二人へインタビューをさせていただきましたので、対談形式でファンの皆さまへお届けします。

はじめに
寺西:今年もお越しくださりありがとうございます!今シーズンもお疲れ様でした!
三浦選手・木原選手:ありがとうございます!今シーズンも大変お世話になりありがとうございました。


今シーズンについて
えり:今シーズンは怪我をしないことと、全試合に出場されることを目標にされてきて、それが達成できたシーズンかと思いますが、振り返ってみていかがですか?
木原選手:とにかく大きな怪我をしないでシーズン最終戦まで滑りきるという目標は達成できたのですが、シーズン前半は結果を求め過ぎてしまって、2人ともちょっとつらい思いをしました。ただ、全日本が終わってから四大陸までの間に少し休暇を取ることができたので、そこで気持ちをリフレッシュして、シーズン後半では自分たちらしい滑りができたと思います。
えり:四大陸からは、「楽しむ」ことを目標にされてきたのですよね。
木原選手:前半戦ではもっともっと良いものを出そうという思いで集中してやっていた一方で、練習中の対話が減るなど2人のいいところを消してしまっていました。2人にとって「楽しむこと」が一番重要なことに気づき、後半戦からはいつも以上にコミュニケーションをとるようにしていました。
三浦選手:シーズン前半は立て続けに試合があったので、なかなか休むことができなかったこともあると思います。
木原選手:昨年は大きな怪我もあったので、2人とも昨年よりは良い結果を絶対に残したいという思いが強すぎたかもしれません。
えり:ちなみに、全日本後の少しの休暇はどう過ごされましたか?
木原選手:僕は地元の友達とボードゲームをしていました(笑)
寺西:普段、お酒は飲まれないですか?
木原選手:シーズン中は二人とも一切飲まないですね。
えり:前にインタビュー記事で三浦選手の方がお酒に強いと読んだことがあります。
三浦選手:父と母がすごく強くて、私も強いです(笑)
えり:シーズンは終わりましたが、もう飲まれましたか?
木原選手:少しだけ。ただ来シーズンはオリンピックシーズンなので、シーズンオフでもなるべくオンに近いように気を付けています。
えり:先日テレビでお二人の密着番組を観ましたが、食生活もすごく気を使われているのが窺えました。三浦選手はマスカットがお好きなんですよね。
三浦選手:そうです(笑)今は日本の旬はいちごですよね。帰国前に母がいちごを頼んでくれていたみたいで、帰ってきてから美味しいいちごを食べました。
次のシーズンやプログラムについて
えり:次のシーズンの目標を伺ってもよいですか?
三浦選手:来シーズンはまずオリンピックに出場できるように、そして出場できたら個人戦でもメダル獲得を目指して頑張りたいです。
木原選手:来シーズンも、まず怪我をしないことを一番に、そして昨年は少し楽しめてない自分達がいましたので、来シーズンはシーズン初戦から楽しみ、オリンピックではメダル獲得を目標に頑張っていきたいです。
寺西:応援しています!
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えり: 今シーズンはショートもフリーもかっこいい感じでしたが、次のプログラムのイメージは決まっていますか?
三浦選手:ショートプログラムは、今シーズンの曲か過去に使っていた曲を、継続かリメイクかでもう一度やろうかなと考えています。フリーはまだ何も決まってないです。
木原選手:フリーは完全に新しいものにしますが、振付師さんとの相談はこれからです。
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えり:今回のショートプログラムは、ステップシークエンスで二人一緒にイーグルをやられるところ、フリープログラムは二人の最後のポーズが私はお気に入りだったのですが、お二人は今年のプログラムでお気に入りの場面はありますか?
三浦選手:シェイリーンさん振付のショートプログラムはフットワークが見どころです。このプログラムは休むところがなくて、フットワークもものすごくきついんですけど、曲の音ハメなど見どころ満載です。
木原選手: フリーは、最後にあるコレオシークエンスという、リフトが終わってからの踊りだけのパートが僕たちの中で特に印象に残っている場面です。
えり:ショートもフリーも、フットワークなど一緒にユニゾンで踊られるところが2人にとってはお気に入りなのですね!リフトやスロージャンプなど大技に注目してしまいがちなので、これからフットワークもしっかり観ます!ちなみに、振り付けをされるときは、お2人も意見をかなり出しながら作られていますか?
三浦選手:スローの入り方など、技までの自分たちのやりやすい入り方は伝えています。
木原選手:振付師さんが「こういった動きは出せますか?」など提案をしてくださるので、そこに自分たちのものを組み合わせていく感じです。音楽も自分たちで提案したり、振付師さんに提案していただいて決めていきます。

お二人のスケーティングについて
えり:お二人がペアで一番難しいなと思う技はなんですか?
木原選手:ツイスト?
三浦選手:ペアを始めた頃は、ツイストという、男性が女性を投げてキャッチする技が難しいと思っていたんですけど、私は今、リフトが難しいなと。シーズンごとに新しいものを取り入れないといけないので、工夫をしたり、見たことないような新しいポジションを模索したりするのが、本当に難しいです。
えり:今ツイストとかリフトと聞いてびっくりしています。お二人は本当に綺麗にスムーズに技をこなされるので、意外でした。
寺西:あとスピード感が全然違うよね。他の選手と比べても、なんでこの技をこんな早くできるのっていう。
えり:あと木原選手がリフトの途中でひざを曲げてしゃがんだり、またそこから立ち上がったりするところも、スピードが落ちないのが本当にすごいなと思って。三浦選手を上に持ち上げたまま木原選手も大きく動きをつけて、そして三浦選手をスムーズにおろしてきて、くるっと回して着氷させてって、本当にすごいです。
木原選手:ありがとうございます。
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えり:リフトやスローなど、大技の前の心の声ってどんな感じですか?
三浦選手:たくさんのことを考えています。例えば、スローの前にはダンスリフトという加点を付けるための技があるのですが、そこでしっかり力を入れることや、スローのタイミングなど、いろいろなことを考えています。
寺西:演技中は無言ですよね。もう音楽とお互いの目と目の合図だけで。すごいね。
えり:でもスピンのときは木原選手がね、「はい!」「はい!」ってね。
木原選手:そうです、サイドバイサイドスピンという技では必ず僕のコールでポジションを変えるようになっています。
えり:全日本選手権で観戦させていただいたときは、席がリンクに近くて掛け声が聞こえてきて、声を出されていることとボリュームにびっくりしました(笑)現地に行かないと分からないですね。
木原選手:会場の音楽のボリュームが大きくて自分も声を大きく出さないと聞こえないので、普段の練習からしっかり声を出すようにしています。
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えり:お互いのスケートの技術で、「ここすごいな」って思うところはどこですか?
木原選手:璃来ちゃんは膝がすごく柔らかいので、スローの着氷やストローキングの質がとても良くて素晴らしいなと思います。
三浦選手:木原選手のリフトのスピード感は本当に他の選手にないもので、すごいなと思います。
えり:三浦選手はスローで着氷するとき足にものすごい負荷がかかりますよね。
三浦選手:今シーズンから本格的にトレーナーさんについていただいて、本当のトレーニングは今季から始めたんです。
えり:えー!そうなんですか。私はブレード担当になった8カ月前に製品理解のためにスケートを始めて、まだモホークやスリーターンなど基礎を練習している段階ですが、土日両方練習すると月曜日足が全然上がらないんですよ。だから本当に選手の方はすごいなといつも思います。
木原選手:でもすごくお詳しいですよね!
寺西:なんか外国語話しているのかなって(笑)
えり:猛勉強しています(笑)
木原選手:質問の内容が、本当にスケートをすごく研究してくださっている方のインタビューで、試合の後の囲み取材みたいです(笑)ありがとうございます。
えり:社長、ボーナスお願いしますね。
ブレードについて
寺西:ブレードに関する評価もぜひいただけますか。
木原選手:やっぱり使用させていただいているブレードは世界一だと思っています。ワンプッシュの僕たちのこのストーキングの速さは、YSブレードの力が大きいです。だからあまり大きい声では言いたくない(笑)現役選手の方々は、使ったら絶対このワンプッシュの違いはすぐに分かると思います。
えり:いつも不思議に思うのが、背の高い木原選手と、小柄な三浦選手のスピードが合うのは、三浦選手がめちゃくちゃ猛スピードなのか、木原選手が合わせていらっしゃるのか、どっちなんだろうって(笑)
木原選手:スピードが合う理由は2つあると思っていて、1つは璃来ちゃんが猛スピードだから、もう1つは2人のタイミングが合わせようとしなくても合う、簡単に言うと相性がすごく良いからだと思います。
三浦選手:最初木原選手だけYS BLADESだったときは、どれだけ押してもおいていかれるような感じがありましたが、私もYSを使わせていただくようになってからは追いつくようになりました。
木原選手:二人がさらに進化できたのはそこからだよね。チームメイトにも、何のブレードを使っているのかってすごく聞かれます。
えり:日本ではありがたいことにたくさんの選手にご使用いただいていますが、海外では知名度もまだまだですので、私もしっかり営業を頑張ります!

試合やほかの道具について
えり:お二人はシングルの選手の演技も結構観られますか?
木原選手:試合に行ったときも観ますし、自分たちが出場しない試合でもYouTubeで結構観るよね。
三浦選手:今年は坂本選手や鍵山選手とよく同じ大会に出たのですが、鍵山選手のショートや坂本選手のフリーが大好きでした。
木原選手:自分の試合が終わったらお互いを応援しあう雰囲気がありましたので、坂本選手と鍵山選手のプログラムはかなり記憶に残っています。
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えり:好きな滑走順ってありますか?
三浦選手:最近は後ろの方で滑らせていただくことが多いんですけど、その中で今シーズン1試合だけ一番滑走でした。その時は大変に感じましたね。6分間練習で6分ぎりぎりまで滑ってしまうと心拍が上がってしまうので、少し時間を残すという調整が難しくて。やっぱり最後の滑走のほうが好きかな。
木原選手:一番滑走は一番体が温まった状態で入れるので、僕的には一番も好きです。でも四番滑走ですと1回靴を脱いで足の疲れを取れるので、そこはいいかな。普段の練習から試合のことを想定して、6分間練習をして、1回氷から上がって靴を脱いで、という練習もしています。事前にワールドランクで ある程度の滑走順が予想できるので、今回一番滑走になりそうだから一番の練習をしておこうって。
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寺西:靴紐は試合ごとに新しく付け替えていますか?
木原選手:試合ごとではなく、切れそうなタイミングで常に早めに変えるようにしています。靴紐も、使い込むと摩擦で擦れてきて通りがよくなり、締りもよくなります。新しい靴ひもは馴染んでいなくてあまり締まらない。それを気にする選手もいると思います。
えり:靴紐でも結構感覚が変わるんですね。私はブレードを石川(YS BLADES開発者)に取り付けてもらっているのですが、半年以上仮留めだったのをやっと固定してもらったら、途端に靴の感覚が変わったんですよ。プロの方の言われる「感覚の違い」ってコレか~!と思いました。本当に繊細なスポーツだと思います。
木原選手:仮留めだとトウが浮きますよね。それを固定すると高さも変わりますので、仮留めと固定された状態だと感覚は全く違うと思います。僕の場合はブレードを取り付けてくださる方がいらっしゃるリンクが遠いので、仮留めをしたら歩いたり屈伸をしたりして、大丈夫そうならもうトウとエッジを留めてしまいます。僕の力だと仮留めではエッジが飛んでしまうと思うので。靴もこぶ出しをしっかりやらないと足が正しい位置に収まりません。まずは靴をしっかり、そこからエッジですね。
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寺西:試合には何足持って行っているんですか?
木原選手:基本的には1足ですが、オリンピックには新しい靴と、今シーズン使用した靴の2足持っていきます。今シーズンの靴がとても調子が良かったので、研磨してすぐ履ける状態にして持っていきます。
えり:靴はどれぐらいの頻度で変えていますか?
三浦選手:私は8ヶ月くらいです。スローに耐えられなくなります。
木原選手:僕も6~8カ月ですね。どちらかというと柔らかい方がペアはやりやすいのですが、柔らかすぎるとリフトで踏ん張れなかったり、ジャンプが着地で沈んでしまって次のコンビネーションに繋がりづらくなります。
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えり:よく選手の方が試合前のインタビューで、リンクについて「滑りやすい」「いい氷」などコメントされているのを耳にしますが、どんな氷が滑りやすいですか?
木原選手:日本での試合は特設が多くて、常設リンクとは少し感覚が違います。特設リンクは最初少し滑るだけでバリバリとひびが入るような状態です。スケーターが乗ると、ひびが入って隙間にどんどん水が入って、硬くなっていきます。また、会場にお客様が入ると、水分が飛んだバリバリの状態になるので、足も取られやすくなります。特設リンクは少し疲労感が溜まりやすいですね。
三浦選手:寒いリンクほど氷が硬いのですが、氷が硬いとワンプッシュですごく伸びて滑りやすいです。

私生活について
えり:マイブームは今何かありますか?
木原選手:僕は「カタン」というドイツ発祥のボードゲームが好きです。説明が難しいんですけど、陣取りゲームみたいなゲームです。
三浦選手:私はお買い物です。お洋服とか化粧品とか。カナダではあまり買わないので、カナダにいるうちにいろんな動画を見て情報収集をして、日本に帰ってきたときにショッピングをする感じです。
えり:三浦選手の私服は全然想像つかないです。
三浦選手:ロングスカートやジーパンとか、カジュアルな感じです。
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えり:お2人はよく作る料理や得意料理はありますか?
三浦選手:私は最近、冷凍うどんで味噌チゲうどんを作るのにハマっています。シーズン中も食べます。お鍋に野菜をたくさん入れてとてもヘルシーですし、炭水化物もとれるので、お気に入りです。
えり:木原選手も一緒に食べられているんですか?
木原選手:僕もお裾分けをいただくことがあります(笑)僕は圧力鍋を使ったカレーや鍋を作ったり、スライスしたトマトに玉ねぎのみじん切りを乗せて、簡単酢をかけて食べたりしています。
えり:カレーの辛さはどれくらいがお好みですか?
木原選手:中辛が多いです。璃来ちゃんが辛いのも甘いのも好きじゃないので(笑)
えり:普段我慢している食べ物はありますか?
木原選手:ケーキやアイスはシーズン中には一切食べません。太りやすいので気を付けています。試合が終わった後に一瞬だけ食べたいものを食べてまた次の試合に向けて絞っていくというコントロールをしています。
えり:好きなアイスのフレーバーはなんですか?
三浦選手:カナダにはメープルシロップのフレーバーがあってお気に入りです。
木原選手:僕はストロベリー(笑)
二人の関係性について
えり:長年一緒に過ごされていてお互いが変わってきたなと思われるところはありますか?
三浦選手:龍一君は9歳年上なので、引っ張ってもらうことが多かったんですけど、龍一君が昨年怪我をしてからは頼ってもらえることが増えたり、少し弱さを見せてくれることがあったりと、変化があったかなと思います。
木原選手:お互いの信頼感が増して、璃来ちゃんのことを頼れるようになった自分がいます。お互い真の意味で負担を分け合えるような関係になってきました。以前は僕が引っ張ったり、負担を引き受けたりすることが多かったですが、今は本当に2人で支えあっている、今まで以上にそういった感じがあります。お互い怪我がありましたので、その時にお互いをサポートする経験ができたのは大きかったと思います。
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えり:もしお互いがスーパーヒーローだったら、どんな能力が似合いそうですか?
三浦選手:怪力じゃない?(笑)
木原選手:璃来ちゃんは猫の能力。
三浦選手:なにそれ?
木原選手:どこから落ちても怪我をしない。ひっくり返って着地するバランス能力。
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えり:パートナーとして一番感謝しているところはなんですか?
三浦選手:絶対落とさないからねっていう信頼できることをすごく言ってくれるところです。
木原選手:璃来ちゃんはすごく強い心の持ち主。普通だったら、怪我をした後はスロージャンプとか怖くなると思うんですけど、自分でやると決めたことは絶対やりきるし、「大丈夫」って僕にも伝えてくれるので、その強い心に感謝しています。

えり:ありがとうございます!私は聞きたいことは全部聞けましたが、社長いかがですか?
社長:いや、もうかなり深いインタビューをしてお二人お疲れだと思うから(笑)
えり:そうですよね(笑)、三浦選手、木原選手、ありがとうございました。
お土産タイム
えり:では、お土産をお渡しさせていただいてもよろしいですか? まず、最近弊社がペーパーナイフを作りまして。
木原選手:うわー!かわいいー!これ欲しかったんです!ありがとうございます!
三浦選手:え、かわいいー!名前も入ってる!
(お二人のペーパーナイフにはお名前を刻印させていただきました)

えり:お二人にぜひいま試していただけたらと思いまして、お手紙入りの封筒をご用意しました(笑)ぜひ使ってみてください。
三浦選手:すごい、ありがとうございます!
木原選手:ペーパーナイフを使ったことがないんですけど、どうやって使うんですか?
寺西:刃を上に向けて、根元まで入れて、引きながらぐーっと押すようにすると切れるかな。
三浦選手:おおー!すごい!きれいに切れた!
木原選手:(手こずり気味)ちょっと難しいですね!(笑)



えり:あと以前バッグチャームをお渡しさせていただいたことがある思うんですけど、今回は世界選手権ご優勝の記念にゴールドバージョンを......
木原選手:ありがとうございます!
三浦選手:わー!きれい!

えり:このバッグチャームもお二人のご優勝記念に数量限定で販売させていただいたのですが、ファンの方にご好評いただいてすぐ売り切れになりました!ありがとうございました。
三浦選手・木原選手:ありがとうございます。

えり:そしてブレードです。
三浦選手・木原選手:ありがとうございます!

おわりに
えり:では今日はお忙しいところ来ていただき本当にありがとうございました!とても楽しい時間を過ごさせていただきました。
三浦選手・木原選手:今シーズンもご支援いただきまして本当にありがとうございました。また来シーズンもよろしくお願いします。
寺西:また来年もぜひ頑張ってください。みんな楽しみに観ています!応援しています。



